素焼きしたタイルが工房に送られてきます。まずは絵付けの前に、ガラス質の釉薬の準備です。置いておくと分離するので、使う前に必ずよくかき混ぜます。
素焼きタイルと釉薬をかけたタイルを並べてみました。素焼きしたタイル(写真※1の左)は大きなタイル工場で製造されており、それが各絵付け工房に届けられます。釉薬は通常絵付け工房で用意されており、掛けると真っ白(写真※1の右)になります。これは瞬時に乾くので、すぐに絵付けを開始してかまいません。手でサッと速やかに施釉します(※2)。
絵柄は、まずトレーシングペーパーで用意します。
等身大で描いた下絵をトレーシングペーパーに写します(※3)。
鉛筆で描いた下書き線をなぞるように、針で穴を開けていきます(※4)。
タイルにペーパーを重ねて、写真のような炭が入った布の袋をこすりつけます(※5、※6)。
タイルに黒い点で書いたような絵(写真※7中央部)ができます。この点の絵を筆でなぞっていき、色を付けていきます。写真※7のタイルの縁の部分はすでに青く色付けまでされた部分です。
設計士の図面デスクのような傾斜のある台の上にタイルを並べ、描いていきます。大画面の大作は、脚立に乗って数か月かけて描くこともあります。
写真や絵などを模写する場合は、もとの絵の色にできるだけ近づけるために、細心の注意を払います。ここで難しいのは、顔料の色が焼成後は全く違う色になってしまうことです。例えば鮮やかな青も、焼成前の顔料の色は藤色のようなかなり薄い色です。この色の調整も経験とセンスが問われる重要な作業です。
焼成前の仕上げに手作業で釉薬の補正を行います(※8)。
絵付けが完了すると、タイル専用の棚に一枚ずつ収めていきます。数十枚の組タイルなども、一旦こうしてばらしてしまうのです(※9)。
この大きな焼釜でいよいよタイルを焼き上げます。1020℃~40℃で6~8時間焼き、その後釜の中でゆっくりと冷まし、最初に焼釜に入れた時から約24時間後に出来上がったタイルを取り出します。
こうして長い工程を経て焼きあがったアズレージョは、彼らの手で一枚ずつ丁寧に梱包されたのち、日本に届けられます。